大人の5人を描くことになった経緯は?映画「ゆるキャン△」監督が裏話を次々披露
あfろ原作による映画「ゆるキャン△」の初日舞台挨拶が、本日7月1日に東京・丸の内ピカデリーで開催された。
TVアニメ「ゆるキャン△」から時が経ち、大人になったなでしこたちがキャンプ場づくりに挑戦する姿を描く映画「ゆるキャン△」。舞台挨拶には各務原なでしこ役の花守ゆみり、志摩リン役の東山奈央、大垣千明役の原紗友里、監督を務めた京極義昭が登壇した。京極監督は「『あれも入れたい』『これも入れたい』と作っていたら尺が2時間を超えそうになって、なんとか収めたんですけど、そのせいでだいぶスケジュールが押してバタバタしました。スタッフとキャストの皆さんのおかげでいい映像にすることができたのでホッとしています」と公開を迎えての心境を吐露する。
そんな京極監督が映画を作ることを告げられたのは、TVアニメ1期の放送が終わった少し後だったそうで「原作のストックが全然なかった頃なので『映画はオリジナルで考えてみようか』という話になり、自分が観たいものを挙げていったんです。そうしたら1期の第12話の、なでしこが大人になった5人を妄想するシーンの話になり、あれは僕らも作っていて面白かったし、もうちょっと大人の5人を観てみたいなという気持ちになって」と構想が固まっていった経緯を明かす。各キャラクターの設定については「5人が将来何をするのかということは、キャラクターの性格や興味があることから発想していって『こんな感じじゃないですか』とあfろ先生に逐一相談しながら決めました」と語った。
成長したキャラクターを演じるにあたって、東山はテスト段階でスタッフと話し合ったとのこと。結局わかりやすく声のトーンを変えて演じ分ける方法は採らなかったそうで、「みんなが大人になっていることがわかるセリフになっていたので、セリフに身を委ねることで、特別に意識しなくても大人のみんなを演じられていた気がするよね」と同意を求めると、原は「意外と今までの千秋のままで演じたらいけました」と同意した。花守は桜に寄せた演技やリアルっぽい演技など何パターンも用意していたそうで、京極監督が「(演技を聴いて)ちょっとショックを受けたんですよ。なでしこが大人になりすぎて」と振り返ると、花守も「それを音響監督越しに聞いて『あ、ちょっと心臓に悪かったかもしれない』と今のなでしこに寄せました(笑)」と述べた。
映画ではキャンプ場づくりに挑むなでしこたち。京極監督はこのようなストーリーにした理由について「大人になった5人が少し規模の大きいキャンプをする案も挙がったんですけど、もっと大人だからこそできる物語を作れないかといろいろ考えていって、そのときに出たのが『キャンプ場を作る』という案だったんですね」と明かす。またロケハンについては「『この場所を舞台に作ってみたい』って一度行ってみて、『ここだったらこういうストーリーができるよね』って決めて、さらに『もう1回取材しよう』って感じで、同じ場所に最低2回行きました。小さいロケハン含めると2、30回は行っています」と述懐。東山が「行ってみて『ちょっと(イメージと)違ったな』ということはなかったんですか?」と聞くと、「だいたい行くとどこも魅力的なんです。『ここも出したい』『あそこも出したい』って尺が膨らんでいくんですよ(笑)」と答えていた。
終盤には1人ひとりが挨拶。原は「試写会ではエンディングで温かい涙がこぼれました。社会人の皆さんにはすごく刺さる言葉がいくつかあると思いますし、絶対に観てよかったと思える『ゆるキャン△』らしい作品です。千明さんも一生懸命いろんなことをやっていますので、応援のほどよろしくお願いします」と語る。東山は「アフレコしていて『すごい映画だな』と思ったんですけど、今日、京極監督の『これも描きたい、あれも描きたい』というお話をうかがって、ロケハンは大変だったと思うんですけど『なんかすごく楽しそう!』とも思って。だからこういう映画になったんだなと感じました。どんどん皆さんで映画の面白さを共有しあって、何度でも遊びに来ていただきたいと思います」と話した。
花守はまだ劇場では作品を観られていないことや、母親や友人から観たという報告をもらったことを明かしつつ「私も早く劇場で“野外活動”したいなと思っております。この30分ではとても語り足りないような、監督をはじめとした皆さんのこだわりがたくさん詰まった作品になっています」とコメント。最後に京極監督は「僕はこうしてお客さんと顔を合わせる機会は中々ないんですけど、こんなにたくさんの方々に『ゆるキャン△』は支えてられてきたんだなとすごくうれしいです。ちょっと長いですけど(笑)、最後まで楽しんでいただければと思います」と観客に呼びかけ、舞台挨拶を締めくくった。
(c)あfろ・芳⽂社/野外活動委員会